1026-02-01から1ヶ月間の記事一覧
恋風や御簾の隙より迦陵頻五つ重ねの絹がちらちら
嶋臺は蓬莱山を写しけり尉と姥との相惚れぞよき
忍れどお腹の中に瓜の蔓ものや洗うと人の問うまで
野干平つれて狐の嫁入かな時雨もしたり陽も照りにけり
年寄らず若い女夫でいつまでも金たくさんに相生の松
横雲のたなびく頃に夜這星待たるる閨に蟹の夜這い
居続けに千く万この玉や一力みの見えし春の曙
鶺鴒の尾のひこひこを見習いて大きな国を垂れるほど産む
九万里に羽をのす鳥の思いにて人目の関を越えて忍ばん
添い臥しにはらみし花の杜若皆紫の縁美し
軍門に入って夜ととも熊谷の母衣を乱さぬ恋をするかな
楊貴妃は芙蓉の花に似たるとて抱いて寝たれば露にぬれつつ
結びては妹背の山の中に折れる吉野の紙のよしや離れぬ
恋しさは同じ心にあらざらん蟻の塔積む文の数々
見渡せば芸子白人こき混ぜて柳桜の雛遊びなり
暮を待つ吉原雀仰々し太子格子に散茶呼び出し
顔見せや顔をさらして布晒人も砧の何時も大入り
業平を昔男と言うならば昔女は小町なるべし
朝顔や釣瓶とられて貰い水ついでに千代と目で知らす暮
朝比奈の紋を十ずつ十寄せて百人力の鶴の紋なり
花菱や桔梗や桐の紋尽しけはひ道具を送る嫁入荷
つく羽根の娘もついに嫁となり恋ぞ積もりて子持とぞなる
襟元へ顔を巣籠恥かしや今日水揚げと祝い初めてき
妓王妓女佛も元は凡夫なり妻恋う鹿も尼を釣舟
忍ぶてふ龍朧車くるくると寝屋のあたりを行きつ戻りつ
悋気から輪廻の廻る三巴我を祭らん宇治の橋姫
秋風は吹けどもあかね忍び路に来るを知らする鳴子からから
易々と鼎を揚ぐる力あり恋の重荷をこれに比べて
天にあらば比翼の契り楽しまん霞の蒲団雲どりの夜着
かいま見や戯れている蝶二つ堅い荘子も恋を召さるる