1026-02-01から1ヶ月間の記事一覧

十.迦陵頻(かりょうびん)

恋風や御簾の隙より迦陵頻五つ重ねの絹がちらちら

一.蓬莱(ほうらい)

嶋臺は蓬莱山を写しけり尉と姥との相惚れぞよき

四十七.瓜の蔓(うりのつる)

忍れどお腹の中に瓜の蔓ものや洗うと人の問うまで

四十五.野干平(やかんべい)

野干平つれて狐の嫁入かな時雨もしたり陽も照りにけり

四十.相生(あいおい)

年寄らず若い女夫でいつまでも金たくさんに相生の松

三十一.横雲(よこぐも)

横雲のたなびく頃に夜這星待たるる閨に蟹の夜這い

二十五.春の曙(はるのあけぼの)

居続けに千く万この玉や一力みの見えし春の曙

二十四.鶺鴒(せきれい)

鶺鴒の尾のひこひこを見習いて大きな国を垂れるほど産む

十七.九万里(くまんり)

九万里に羽をのす鳥の思いにて人目の関を越えて忍ばん

四十六.杜若(かきつばた)

添い臥しにはらみし花の杜若皆紫の縁美し

十三.熊谷(くまがえ)

軍門に入って夜ととも熊谷の母衣を乱さぬ恋をするかな

十二.芙蓉(ふよう)

楊貴妃は芙蓉の花に似たるとて抱いて寝たれば露にぬれつつ

五.妹背山(いもせやま)

結びては妹背の山の中に折れる吉野の紙のよしや離れぬ

四十四.蟻の塔(ありのとう)

恋しさは同じ心にあらざらん蟻の塔積む文の数々

二十六.雛遊(ひなあそび)

見渡せば芸子白人こき混ぜて柳桜の雛遊びなり

二十二.葭原雀(よしわらすずめ)

暮を待つ吉原雀仰々し太子格子に散茶呼び出し

十八.布晒(ぬのざらし)

顔見せや顔をさらして布晒人も砧の何時も大入り

八.昔男(むかしおとこ)

業平を昔男と言うならば昔女は小町なるべし

六.蕣(あさがお)

朝顔や釣瓶とられて貰い水ついでに千代と目で知らす暮

四十九.百鶴(ひゃっかく)

朝比奈の紋を十ずつ十寄せて百人力の鶴の紋なり

三十三.花菱(はなびし)

花菱や桔梗や桐の紋尽しけはひ道具を送る嫁入荷

二十.つく羽根(つくばね)

つく羽根の娘もついに嫁となり恋ぞ積もりて子持とぞなる

十一.巣籠(すごもり)

襟元へ顔を巣籠恥かしや今日水揚げと祝い初めてき

四十八.釣舟(つりふね)

妓王妓女佛も元は凡夫なり妻恋う鹿も尼を釣舟

四十三.龍朧車(りんどうぐるま)

忍ぶてふ龍朧車くるくると寝屋のあたりを行きつ戻りつ

三十二.三巴(みつどもえ)

悋気から輪廻の廻る三巴我を祭らん宇治の橋姫

三十.鳴子(なるこ)

秋風は吹けどもあかね忍び路に来るを知らする鳴子からから

二十七.鼎(かなえ)

易々と鼎を揚ぐる力あり恋の重荷をこれに比べて

三十九.比翼(ひよく)

天にあらば比翼の契り楽しまん霞の蒲団雲どりの夜着

三十七.荘子(そうじ)

かいま見や戯れている蝶二つ堅い荘子も恋を召さるる