1026-01-01から1年間の記事一覧

二十九.花橘(はなたちばな)

待ちわびて君を辛しと思うなり腹立花に夜を明かしつつ

二十八.寄木(やどりぎ)

夕立につい宿り木か二世の縁空焚きならぬ匂い留めて

二十一.澤潟(おもだか)

初恋は嬉しきものと思わるるおも高々と読みあぐる文

十六.夢の通い路(ゆめのかよいじ)

有明の月洩る閨をこそこそと夢の通ひ路一間越ゆらん

十四.村雲(むらくも)

忍び路の恋を見つけて村雲の中からバアと月の顔出ず

三十六.風車(かざぐるま)

一筆の恋風車吹寄せてかくした文の袖の重たさ

二十三.瓢箪町(ひょうたんまち)

金銀や桂馬に乗りて九軒飛び瓢箪町へ駒を早める

十九.四ッの袖(よつのそで)

夜桜や匂い余りて初夜も過ぎ四ッの袖から恋風ぞ吹く

十五.呉竹(くれたけ)

今若や乙若連れて呉竹の伏見の里に契る常磐木

九.楽々波(さざなみ)

唐崎の松は花より朧にて晴れぬ思いの心楽々波

七.八橋(やつはし)

紫の野郎帽子の八橋や七十過て振袖の役

三.拾餌(えひろい)

餌を拾うように恋路の栗畑人が来るやら引板の音する

二.花見車(はなみぐるま)

滋賀寺の上人さえもその昔花見車の内に恋草

三十五.三が一(みつがいち)

ぴかぴかと光る源氏の顔形思いは三が一の筆なり

三十四.早乙女(さおとめ)

花嫁も娘を出て早乙女やおいど並べて田植えするなり

四十二.青海波(せいがいは)

恋風に帆を挙げてゆく玉梓は青海波の上をゆらゆら

四十一.風蘭(ふうらん)

島原の戻りは風蘭ふらふらとまだ忘られぬ袖の移り香

三十八.妙妙(みょうみょう)

目くばせて覚らすもあり覚るあり弥陀法華も契る妙妙

四.稲妻(いなずま)

稲妻や昨日は東今日は西祇園朱雀の色に浮かれて