アラビア語の世界 語根

アラビア語(を含むセム諸語)の理解のために欠かせないものの一つに語根(root)があります。
語根は通常3つの子音から構成されていて(たまに2つや4つのものあります)、これに母音や接辞を加えることにより語が形成されます。
例えばKTBという3子音、すべて母音aを付けるとKaTaBa(書く)という動詞になります。他にもKaTTaBa(書かせる)、taKāTaBa(互いに文通する)、KiTāB(本)、maKTaB(学校)、maKTaBa(図書館)、KāTiB(作家)などなど「書く」という概念に関係する語がKTBという語根から作られます。
ということでアラビア語では母音というのはさほど重要ではなく、語根である子音が重要になります。こんなわけでアラビア語では母音は表記されないわけです。
もっとも母音を示す母音符号というものがあります。が、これは外国人向けのアラビア語学習書・子供向けの本・クルアーンコーラン)など限られた場合にしか用いられません。クルアーンに母音符号が用いられるのは、読み方が何通りもあると異なった解釈がなされる虞があるからです。
私なんかはいつも母音符号が付いていた方が読みやすいと思っちゃいますが、母音符号を漢字の振り仮名に置き換えて考えると、あれはやはり読める人にはない方が見やすいですよね。母音符号も同様に読める人には付いていない方がすっきりしていて良いのです。また母音符号を付ける場合、文字をいったん書いた後その上下に加えなければならないので手間が増えるというのもあります。その辺も振り仮名と同じですね。