鏡地獄の内なる狂気

佐久間紅美さん出演の、LED第9回公演「仮面舞盗会 終ノ舞 〜The end of Phantom」の千秋楽を観て来ました。


会場は、「序ノ舞」と同じく、恵比寿エコー劇場。4日前も最前列でしたけれども、今回は最前列ど真ん中で、観る側なのに若干緊張してしまいました。



15時、怪人二十面相による前説があって、15時5分、開演。終演は、17時。「序ノ舞」よりも、25分長い舞台でした。
出演者等(敬称略)は、以下の通り。

原作
江戸川乱歩
脚本/演出
直塚和紀
キャスト
明智小五郎田中精
小林芳雄佐久間紅美
緑川勢子:畑満美子
江川蘭子:西島未智
宗像隆一郎:かねこはりい
手塚昌一:藤巻勇気
手塚雪子:園田綾香
島村紅緒:迫水由季
里見絹枝:青木五百厘
里見芳枝:鄭美奈
中村善四郎:大曽根徹
今西庄三:森澤幸司
星野竜子:にしだみき
畔柳友助:加藤雅彦
恩田壮介:湯田昌次
横溝正史北村智晃
江戸川乱歩麻生千稀

始まってすぐ、「序ノ舞」から思わせ振りに登場していた人間椅子が早々に退場してしまうとは、予想外でした。結局あの後1度も登場しませんでしたね。乱歩作品繋がりで出してみただけだったようです。
人間椅子」以外にも、「黒蜥蜴」、「人間豹」、「悪魔の紋章」、「青銅の魔人」、「蜘蛛男」など、数々の乱歩作品から色んな登場人物が出演。ストーリーは「人間彪」を核にして、人間誰しも被っている「仮面」がテーマになっていました。次々と明かされていく謎や正体に、作品の世界に引き込まれつつ、楽しむことが出来ました。
芳江が死んだ時には、原作で死ぬ人はこの作品でも皆死んでしまうのかと思いましたが、蘭子や絹枝は無事生き残りました。黒蜥蜴こと緑川勢子も正体が露見することなく済みましたが、この後「エジプトの星」を狙うことになったので、「黒蜥蜴」へと続いて行くようです。
1番の驚きは、小林少年が実は玉村文代だったことですね。紅美さんが小林少年にキャスティングされたのは、小柄でかつ少年声も出せるからだと勝手に解釈していましたが、まさか本当は女性だったとは。紅美さんが実に少年らしく演じていらっしゃったものですから、すっかり騙されました。「終ノ舞」ではすごいことになると紅美さんから聞いていたものの、これは全く読めなかった。
そう言えば、最初平井太郎こと江戸川乱歩横溝正史に結構出番があったので、メタ的な展開があるのかと思いきや、そんなことはありませんでしたね。後半になると2人は出て来なくなり、代わりに中の人は怪人二十面相とその部下・道化師を演じていました。
1つ解消されなかったモヤモヤを挙げるとすれば、昌一と紅緒の仲はどうなってしまったのかと言う点でしょうか。昌一は勿論、紅緒だって本心では満更ではなさそうな感じだったのに、昌一が蘭子と出逢ってからは、関係が自然消滅してしまいました。まあ、現実でもそう言う別れ方はままあるので、かえってリアルなのかもしれませんけれども。ただ、蘭子が昌一の趣味に合わせて、縛ったり出来るのかが心配。


終演後は、ロビーで紅美さんと少々お話しさせて頂きました。今日は紅美さんの知り合いの方が何人も観に来ていたようで、1ファンに過ぎない身としては、話し掛けるのにいつも以上の勇気が必要だったりして。紅美さん扱いでチケット予約をしたことに対するプレゼントとして、サイン入り写真が貰えました。「序ノ舞」の時のものと合わせて、2種コンプリート。最後に握手をして貰って、劇場を後に。