嫌いな言葉 その2

前回から引き続き嫌いな言葉についてですが、もう一つ(というか二つ)あります。それは「短所」あるいは「欠点」という言葉です。
学校や履歴書などで短所や欠点を書かされる機会は多いと思いますが、どうも気に入りません。何というか、「短所」や「欠点」と言う言葉から、まるで「人間の完全形」があって、それに満たない部分や欠けている部分があるかのような印象を受けてしまいます。
そもそも個人個人にあるのは「長所」や「欠点」などではなく、ただその人の「性質」のみだと思います。その「性質」をある尺度で見た場合に、あるものは「長所」となり、またあるものは「短所」となるにすぎない。「長所」と「短所」が表裏の関係にあることもめずらしくありません。たとえば、「思慮深さ」と「優柔不断」とか。
これが工業製品ならば、そもそもある目的のために存在しているので、当然「短所」というものもあってしかるべきです。が、人が存在する理由は自明ではないし、一つの尺度ではかれるものでもない。であるならば、やはり「短所」あるいは「欠点」という言葉は人に使ってはならないのではないでしょうか。