ラテン文字の辞書配列

私は語学マニアを自称しているくらいですから、当然辞書を引く回数もかなり多いです。毎日なにがしかの言語の辞書をパラパラめくったりしています。
辞書というものは決められた順に単語を並べた物ですから、当然その並べ方の規則を知らない人には引くことができません。ということである言語を学び始めた場合、文字の配列を早く覚える必要があります。
その言語で使っている文字がラテン文字ではない(アラビア文字とかハングルとかの)場合、文字そのものを一から覚えなければならず、それに加えて並び順も、となるとかなりの負担になります。一方ラテン文字を使用している言語ならばそのような負担もなく、覚えなければならない文字と言ったらせいぜいçとかö程度の簡単に覚えられるものばかりです。
では辞書を引くのに何も問題ないと油断していると落とし穴があります。なぜなら並び順というのは恣意的なもので一定ではないからです。日本語でも濁音・半濁音や長音の扱いが一定ではないように、。
並び方の違いはどういう場合に起こるかというと、

  • アクセントなどの特殊符号が付いた母音の場合。たとえばoとöについて、これを全く別の文字として扱い、öが常にoのあとにくるようにするのか、それとも通常は同じ文字として扱い、それでは配列が決まらないときだけöをoの後に持ってくるのか。
  • 2文字以上で一つの音を表す場合。スペイン語のch,ll,ñ,rr、ハンガリー語のcs,dz,dzs,gy,ly,ny,sz,ty,zsなどが代表的。やはり上記の母音の場合と同じ問題が存在する。

ハンガリー語についていえば、母音も子音も完全に別のものとして扱われています。ということでアルファベットの数は44もあります。szem(目)という単語を引こうとしてsの項を見ていても絶対に見つかりません。szという項が独立してあり、そちらで探す必要があります。
スペイン語の場合はどうかというと今では、ch,ll,rrについては別の文字として扱われていません。ただし昔は別の文字と扱われていたので、昔からある辞書を使うときには注意する必要があります。たとえば、小学館の西和中辞典などは別の文字として扱っています。
というわけで気をつけていないと、たとえばfachada(正面)を引くときに、

faccioso,faceta,faceto,facial,faciesって、載ってないよ(怒)

なんてことがよく起こります。一枚めくると載っているんですが(笑)