マルタ語学習終了(アラビア語の世界 辞書)

本当は10月になる前に終わっているハズだったのですが、色々予定が狂って結局半月遅れに…
事前にアラビア語もイタリア語も一応知っていたので、「イタリア語(シチリア語)の単語を大量に借用したアラビア語の方言」であるマルタ語は比較的簡単に学習できるかな、などと甘い見通しを持っていました。文字もアラビア文字ではなくラテン文字(ローマ字)ですし。
ところが学習書も辞書も英語の本を使ったので意外に時間がかかりました。日本語で書かれたものならば重要でない所は流し読みできますが、英語だとなかなかそうもいきません。それにちらほらと分からない英単語も出てきますので、英和辞典を引かねばならずタイムロス。
あとラテン文字アラビア語(の方言)を書くというのも一長一短ですね。母音が表記されて読みやすくなる反面、語根の子音が分かりにくくなります。さらに発音上の関係で変化・挿入・脱落する母音も正しく表記しなければならず少し面倒です。たとえばkiteb+u=kitbuとか。アラビア文字では母音を表記しないので発音が変わっても表記を変えなくて良かったり。
あとは技術的な問題として辞書を引く際に時間がかかるというものがあります。アラビア語ではmFTḤ(鍵)という単語を辞書で引く場合、FTḤを語根として抽出し、FTḤ(開く)の項でmFTḤを探す必要があります。*1この場合、FTḤに母音を付けるとFaTaḤaとなることが分からなくても問題なく辞書を引けます。
ではマルタ語ではどうかというと、muftieħ(鍵)を引く場合、FTĦを語根として抽出するところまでは同じですが、引くのはFTĦではなくfetaħです。よって母音の付け方が分からないと引くことができません。もっともmuftieħを引くと「fetaħを見よ」とあるのですが、二度手間になります。
じゃあ母音を抜いてFTĦのように配列すればいいじゃないかと思うかもしれませんが、マルタ語には大量の借用語があるのでそういうわけにはいかないんですよね。kanta(伊:cantare、歌う)とかstorja(伊:storia、歴史・話)の語根はKNTとかSTRというわけではありません。語根というのはアフロ・アジア語族に特有のものですので。アラビア語では借用語が少ないので固有語は語根順・外来語はアルファベット順という方式でなんとかなりますが。
でもなんだかんだ言って、母音が表記してあるのはノン・ネイティヴにとってはやはり有り難いです(笑)

*1:一部には全ての単語がアルファベット順に並んでいる辞書もありますが初心者向けです。英語では調べたい単語を辞書で引くというのは誰でもできますが、アラビア語では一発で調べたい単語が引けたらもう立派なものです。