アラビア語の世界 派生形
1週間ほど前に「次回は派生形」と言ったまま、放置していたわけなのですが。
動詞の派生形というのはこんな感じのものです。例によって、サンプルの語根はKTBです。
- 第一形:KaTaBa(書く)
- 第二形:KaTTaBa(書かせる)
- 第三形:KāTaBa(文通を続ける)
- 第四形:'aKTaBa(口述する)
- 第五形:taKaTTaBa
- 第六形:taKāTaBa(互いに手紙を書く)
- 第七形:inKaTaBa(署名する)
- 第八形:iKtaTaBa(写す)
- 第九形:iKTaBBa
- 第十形:istaKTaBa(書くように頼む)
第一形は原形あるいは基本形とも言い、これに様々な変化を加えると第二形〜第十形が得られます。*1もっとも第一形から第十形までを全て持つ動詞は稀で、多くはその内のいくつかしか持っていません。たとえばKTBなら、第五形と第九形は実際に用いられることはありません。理論上の形は示すことができますが。
この派生形、アラビア語の理解のためには非常に重要です。なぜなら、「派生形」と言う名前を持っているからと言って、使用頻度が低いと言うことはなく、派生形の理解を欠いたままでは、たとえ母音符号のついた文章であろうとも読むことができないからです。
とは言え、派生形の存在がアラビア語をややこしくしている面も否めません。三語根の動詞ですと理論的には最大、((完了形+未完了形+未完了接続形+未完了短形)x(能動態+受動態)+命令形))x(派生形)=((13+13+13+13)x2+5))x10=1090通りにも変化しうるわけです。その上アラビア語にはたくさんの不規則動詞があるので、それを考慮に入れて語根を見極めなければならないわけです。
*1:本当は第十一形〜第十五形もあるのですが、まず目にすることはありません