アラビア語の世界 発音
文法が複雑なアラビア語ですが、同じぐらい発音も難しいです。以下、母音と子音に分けて説明します。
- 母音
とは言うものの母音は簡単です。
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- 短母音:a u i
- 長母音:ā ū ī
- 二重母音:au ai
これだけしかありません。日本人にとって発音しづらいものは皆無です。
ちなみに「アラビア語は母音を表記しない」と言うのは短母音に限った話で、長母音や二重母音は一応表記されます。
- 子音
母音に比べて子音は豊富です。
日本人にとって発音しにくいものや聞き取りにくいものを挙げます。
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- ṯ ḏ
英語でのthに当たるものです。ṯが無声音(thinkのth)、ḏが有声音(thatのth)です。発音はそれほど難しくはないと思いますが、聞き取りは…
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- ḥ ʿ ḫ ġ q
いずれも喉の奥の方から出す音です。
細かく説明すると、ḥは咽頭壁を調音部位とし、hを喉の奥から出したような音です(咽頭壁とか調音部位とかはこのあたりを参照)。そしてその有声音がʿ。
残り3つは口蓋垂を調音部位とする音です。ḫはhのようにもkのようにも聞こえます。そしてqはkを勢いよく出したような音で、その有声音がġです。
これらの音は発音するたびに喉に負担がかかるのですが、風邪をひいた時とかネイティヴはどうするんだろう?
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- ṣ ḍ ṭ ẓ
これらは強勢子音と呼ばれるもので、発音・聞き取りともに非常に困難です。
具体的には、舌の先を上の歯茎に付けて舌の後部を後ろに引きながらs(d、t、z)を発音すると得られる音です。
ちなみにアラビア語・アラブ人のことを「ḍの言葉」・「ḍの人」とも言いまして、当のアラブ人はḍを正しく発音できるのはアラブ人だけであると誇っているらしいです。