祐巳は来年も松組?

マリみて界における、積年の謎の一つ。それは「高等部のクラス替えはいつあるのか?」と言う問題です。
従来の通説は「2年生から3年生への進級時にはクラス替えはない」でした。クラス替えに関する情報として古くから知られているのは、「二年に一度はクラス替えしている」と言う「桂さん発言」(「黄薔薇革命」74頁)です。
実際の事例に当てはめてみますと、祐巳達は1年生から2年生への進級時にクラス替えをしています。そして祥子さまと令さまは2年生から3年生への進級時にクラスが替わっていません(但し、クラス替えをしなかったと言う明確な記述はない)。このことから従来の通説は導き出されたわけです。
ところが、「レディ、GO!」105頁にこの説を覆すような記述が出てきました。
それは、

来年も松組になって、お姉さまみたいに学ランを着て応援したいと祐巳は思った。

と言う一文です。
これを文面通り受け取れば、祐巳が来年松組になるかどうかは不確定、つまり進級時にクラス替えがあることになります。
これを念頭に「桂さん発言」を読み返しますと、引っかかるのが「二年に一度」の「」です。この「」の存在により、「少なくとも二年に一度」と言うように解釈できます。例えば、幼稚舎*1と初等部*2は隔年クラス替え、中等部と高等部では毎年クラス替えとか。
ちょっとここでクラス替えについていくつかの説を挙げてみます。

  • A説:毎年クラス替えあり
  • B説:1年生から2年生への進級時にはクラス替えあり、2年生から3年生への進級時にはクラス替えなし
  • C説:履修科目の選択により、一部クラス替えあり・一部クラス替えなし
  • D説:一年おきに全在校生同時クラス替え

現在の有力説はA説とB説です。
C説に関しては、リリアン高等部の大学受験対策はしっかりしていないようですし、履修選択によるクラス分けがあると言う記述は原作にありませんので、まずないのではないかと思います。
一考を要するのはD説です。この説によると、「2年生から3年生への進級時に祥子さまと令さまが同じクラスのままだったのは偶然(この点においてA説と同じ)であり、また、来年度はクラス替えがない年に当たるから、祐巳は松組のまま(この点においてB説と同じ)」と言うことになります。
この説は、「祥子さまと令さまが二人とも同じクラスのままである確率は36分の1しかないこと」(B説の根拠)と「祐巳の述懐」(A説の根拠)に反しているかのように見えます。それでは何を根拠にしているかと言えば、「桂さん発言」です。つまり、「二年に一度は」の「は」を重要視せず、クラス替えは隔年と言うところを堅持しています。
しかしながら、この説には、都合が悪い情報があります。それは「チェリーブロッサム」118頁の「これから一年間も同じ教室で学ぶと思うと」です。もし、D説が正しいのならば、乃梨子瞳子は来年度も同じ椿組で学ぶことになる筈です。とは言え、この情報はリリアンに入学して間もない乃梨子を介してのものですから、毎年クラス替えがある、と単に乃梨子が思い込んでいただけと言う可能性もあります。
で、当ブログの見解と致しましては、「祐巳の述懐」を重視し、A説を採ります。「祥子さまと令さまが二人とも同じクラスのままである確率は36分の1しかないこと」は確かにその通りですが、それぐらいの確率ならば充分に起こり得ることだとと思うので。
でも、完全に自信を持っているかと言うと、そうでもありません。なにせ根拠の情報源が、あの祐巳ですので…。普通の人は、来年度のクラス替えの有無と言う重大事を忘れることはまずありませんが、それでも祐巳ならあるいは…と思わせてしまうのが、祐巳祐巳たる所以(笑)

*1:「十八年通い続ければ」で分かるように、幼稚舎は2年制です

*2:原作では「小学部」と「初等部」と言うように表記に揺れがありますが、初等部・中等部・高等部の方がゴロが良いので、当ブログでは「初等部」を採用します。