マリみてとラテン語 Vの話

前回で薔薇ネタは尽きてしまいましたが、最終回の今回は「アヴェ・マリア」と「ウァレンティーヌス」についてです。
ラテン語で綴ると「Ave Maria」と「Varentinus」ですが、不思議なことが一つ。それは両方ともラテン語であるにも拘わらず、「V」がそれぞれ違った音で読まれていることです。
ラテン文字の「V」は元々、子音としては英語の「W」の音を、母音としては「U」の音を表していました。当初、ラテン文字には「U」と言う文字はなかったのです。後に「V」から「U」が作られ、母音としての役割は「U」のものになりました。
そして子音としての「V」は「ヴ」と読まれるようになっていきました。
ちなみに「V」が元々英語の「W」の音を表していたことは、「ウィルス(virus)」森鴎外の「ヰタ・セクスアリス(Vita Sexualis)*1」などからも分かります。
と言うわけで「Ave Maria」は古典ラテン語としては「アウェー・マリア」と読みます。「ave」は動詞aveo(健やかである)の命令形ですが、ここでは「おめでとう」あるいは「こんにちは」ぐらいの意味です。

*1:「ヰ」をどのように読むかについて森鴎外の意図が明らかではないので、例としては不適切でした。