スール規則制定委員会:スール関係の終了

以前の記事 スール関係の発生


今回はいかなる場合にスール関係は終了するのかを考えていきたいと思う。
まず、「姉」か「妹」のどちらかがリリアン女学園高等部からいなくなった場合、当然にスール関係は終了する。具体的には卒業・転校・退学・死亡などの場合である。
卒業の後にも何らかの特別な関係が継続する場合も多いと思われるが、これはあくまで個人間のものであり、制度としてのスール関係は終了している。卒業によりスール関係が当然に終了することは「ロサ・カニーナ」98頁の静さまの申し出から明らかである。

現在の白薔薇さまが卒業なさった後、私はあなた*1を妹として迎えるつもりよ

このようなことが可能であるのは、聖さまの卒業により志摩子さんの「姉」がいなくなるからである。*2


次に、「妹」によるロザリオの返還の場合にもスール関係は終了する。以下、論点をいくつか挙げる。

  • 合意は必要か?

スール関係の発生の場合と違って、終了の場合には合意は必要ないと思われる。「黄薔薇革命」でロザリオを突き返された「姉」達にスール関係の終了を受け入れる意思は認められない。「妹」からロザリオを受け取ったことを以て合意があったと見なすのは適当でないであろう。
それでは何故「妹」にのみ、スール関係を終了させる決定権があるのか?
これは「姉」と「妹」は対等の立場にはないためと考えるのが妥当であろう。「黄薔薇革命」76頁には「姉には絶対服従といっていい妹」とあるように「妹」は「姉」の指導に従う必要があり、おおっぴらに逆らうことは是認されていない。ロザリオの返還は「姉」に対抗するための「切り札」あるいは「伝家の宝刀」としての性格を持っていると考えられる。
ロザリオの返還は「本来ならば許されないはず」の「前代未聞」の行為であるから、その実行には相当の躊躇が伴うと思われる。濫用の虞は低いと言えよう。

  • 「姉」の側からスール関係を一方的に終了させることは出来ないか?

出来ないと考える。前述の通り「姉」は「妹」に対して優位な立場にあるから、当然その責任も重くなるため、「姉」の意思のみによりスール関係を終了させることを認めるのは不適当である。
ただロザリオを返還するよう、「姉」が「妹」に要請することは認めるべきであろう。もっともこれには強制力はないから、「妹」がロザリオの返還を拒否し続けることも可能である。

  • ロザリオの返還は必要か?

ロザリオはスール関係の発生に関して重要な役割を担っており、スール関係の象徴とも言うべきものであるから、意思表示をしてもロザリオの返還がない限りスール関係は原則として終了しない。
但し、紛失した、あるいは自らの「妹」に引き渡したなどの事情により、「妹」の手元に返還すべきロザリオがない場合が想定される。この場合は「姉」にスール関係を終了させる意思を表示すればそれで足りる。
又、「姉」がロザリオを受け取ることを拒否した場合でも意思表示のみによってスール関係は終了する。これを認めなければ、ロザリオの返還の「切り札」あるいは「伝家の宝刀」としての性格が失われることになり妥当でないであろう。


最後に、「姉」が留年した結果、「妹」と同学年になった場合、いかに処理すべきかと言う問題がある。これについては原作中に事例が見あたらないため、スール制度の意義を考量に入れた上で慎重に判断をしなければならない。この問題は「先輩後輩間の秩序」と言う、より大きなテーマに含まれるため、一括して次回で扱うことにする。


今日の条文

(スール関係の終了)
スール関係は、次の各号に掲げる場合に終了する。

  1. リリアン女学園高等部から「姉」あるいは「妹」の籍がなくなった場合
  2. 「妹」がスール関係を終了させる意思を「姉」に表示した場合

(ロザリオの返還)
前条第二号の場合において返還すべきロザリオが存在する時、「妹」が「姉」にロザリオを返還するまでスール関係は終了しない。但し、「姉」がロザリオの受け取りを拒む場合はこの限りでない。

*1:志摩子さん

*2:ここでは「姉」を一人までしか持てないことを前提としているが、これに関しては後日改めて論ずる予定である。