山百合会の選挙制度を考え直す
もう発売から1週間以上経ったので、ネタバレとかは気にしない方向で。
以前山百合会の選挙制度について書いたことがありましたが、今回の新刊で旧来の見解(完全連記制*1説)*2は維持できなくなってしまいました。
と言うのも、「仮面のアクトレス」180〜181頁を見る限り、どうやら1人1票しか投票できないようなのです。いわゆる単記非移譲式*3です。もっとも今回は候補者が4人でしたから、3人の場合はまた別に考えなければなりません。
候補者が3人の場合は「信任投票」になるとのことです。信任投票と言うと過半数の得票で信任となるのが普通ですが、そうだとすると有権者1人につき3票持っていてそれぞれの候補者につき信任・不信任の投票をすることになります。つまり候補者が3人の場合と4人以上の場合とでは方式が異なることになります(投票方式切替え説)*4。
しかし候補者の数によって投票方式が変わるのは色々と面倒です。投票方式に合わせて投票用紙を変えなければなりませんし、集計にかかる時間もかなり変わってきます。そこで考えられるのが、候補者が3人の場合にも1人1票しか投票できない方式です(単記非移譲式説)*5。つまり「信任投票」とは最低得票率以上で信任とする方式を指していると解するのです。最低得票率は6分の1ぐらいが妥当だと思いますが、山百合会役員の権力の大きさを考えれば4分の1ぐらい要求しても良いかもしれません。
ただこの方式にも難点はあります。1人1票しか投票できないわけですから、3人の候補者全員を当選させたくても上手く票が分散しないと不信任になる者が出る虞があります。さらに言えば得票数によって各候補者の人気が分かってしまうわけで、候補者が3人の場合にわざわざ「人気投票」をやるのはあまり好ましいとは言えません。
候補者が3人の場合にどのような投票方式になるにせよ、候補者が4人以上の場合にも最低得票率はあるのではないかと思います。候補者が3人の場合に信任投票をする以上、4人以上の場合には得票率がどんなに低くても当選できるのはおかしいですから。
まあ、実際のところどうなっているのかは良く分かりません。何せ候補者が3人の場合の選挙は描かれたことがありませんから。2年連続で候補者が4人いるのは史上初だったりして。