アラビア語の世界 動詞の変化

アラビア語は動詞の人称変化が非常に豊富です。例えばフランス語やドイツ語では「私は〜・君は〜・彼は〜・私達は〜・君達は〜・彼らは〜」と6通りに変化します。これに対してアラビア語では単数・複数に加えて双数と言う、二つのもの専用のカテゴリーがあり(ただし一人称にはない)、さらに二人称と三人称は文法的性によっても変化します(ただし二人称双数形には性の区別なし)。
よってアラビア語の動詞は「彼は〜・彼女は〜・君(男)は〜・君(女)は〜・私は〜・彼ら二人は〜・彼女ら二人は〜・君達二人は〜・彼ら三人以上は〜・彼女ら三人以上は〜・君達三人以上(男)は〜・君達三人以上(女)は〜・私達は〜」と13通りにも変化します。
さらに動詞には完了形と未完了形があり、未完了形には通常のものの他に接続形と短形があります。他にも命令形・能動分詞・受動分詞・動名詞と盛りだくさんになっています。
実はまだ派生形というのもあるのですが、ちょっと性質が違うものなのでそれは次回に。

余談 彼は殺された

アラビア語にも勿論受動態というものはあるのですが、行為者が判明している場合には使われません。よって「この本は彼によって書かれた」とは言えず、「彼はこの本を書いた」と言わねばなりません。
アラビア語の動詞の変化を覚える際に例として良く使われるのはkataba(書く)と言う動詞です。しかし受動形の変化をkutiba(書かれる)を例に覚えても、上記の理由で実際にはあまり使いません。よって受動態の例としてはqatala(殺す)の受動態であるqutila(殺される)がよく用いられます。
「qutila,qutilat,qutilta,..」などと唱えながら覚えるわけなのですが、これって日本語にすると「彼は殺された・彼女は殺された・君(男)は殺された…」となるんですよね。何だか物騒です(笑)