アラビア語の世界 書き言葉と話し言葉

今までアラビア語について徒然なるままに書いてきたわけですが、ここまでで説明したきたようなアラビア語を習得すれば、たとえばイラーク(イラク)に行って現地の人とコミュニケーションができる、というわけでは全くありません。
何故かと言うと、ここで扱ってきたのはフスハーと呼ばれる書き言葉であり、現地の人が日常生活に用いているのは、アーンミーヤと呼ばれる話し言葉であるからです。
フスハーは8世紀に完成された古典文法を引き継いだものです。そのため文法は複雑で、古めかしい印象を受けます。このフスハーは公の場で使用されています。
一方アーンミーヤは各地域ごとに独特の発展を遂げており、同じアラビア語話者とは言え、たとえばイラーク人とエジプト人がそれぞれのアーンミーヤを使うと意思疎通はできません。
じゃあフスハーを話せば良いのではないかと思われるかもしれませんが、誰でもフスハーを習得しているわけではないのです。アラブ地方には読み書きができない人も大勢いますし。
数あるアーンミーヤの中ではエジプト方言の影響力が強いらしいです。エジプト方言はフスハーのjをgで発音するのですぐに分かるとか。たとえばal-jazīra(アルジャズィーラ)はエジプト方言ではel-gazīra(エルガズィーラ)になります、多分。アーンミーヤに関しては全く知識がないので間違っていたらすみません。
ちなみにエジプト方言を学ぶにはこんな本があります。

この本もそうですが、話し言葉であるアーンミーヤを表記するのにはアラビア文字ではなくラテン文字が使われます。